突然ですが、あなたはマイナス金利政策が何かを説明できますか?
また、この政策によって、銀行に預けているお金が減る可能性があるのかどうかわかりますか?
実は、この政策によって私たちのお金が直接減るということはありないです!
「え? でもネットとかでは、急いで銀行からお金をおろしてタンス預金しようって言ってる人もいるし…どういうことなの?」
と不安になる方もいるかと思います。
というわけで、今回は「マイナス金利政策」についてわかりやすくお話していきます。
わかりやすくするために、疑問に答えていく形で進めていきます!
マイナス金利政策で何が変わるの?混乱しがちなその内容とは
そもそもマイナス金利政策とは、金融政策決定会合で決められた政策のことです!
金融政策決定会合とは月に2回ほど、金融政策の意思決定機関である日銀政策委員会が定期的に開く会合のことです。
日銀政策委員会は、総裁、副総裁2人、民間からの審議委員会6人で構成されています。
疑問:「どういう政策なの?」
マイナス金利政策とはこういう政策です!
中央銀行が政策金利をゼロ%よりも低い水準にする政策。民間銀行が中央銀行に預け入れる預金の金利をマイナスにするのが一般的。民間銀行は日銀に資金を預けると、金利を支払う必要が出てくるため、民間企業の融資や有価証券の購入に資金を振り向ける効果を見込む。中央銀行が供給した資金を実体経済に回りやすくする狙いがある。家計や企業が民間銀行に預ける預金金利をマイナスにするわけではない。欧州ではスイスやデンマークなどの中央銀行が導入している。
引用元:マイナス金利政策とは
「政策金利をゼロ%よりも低い水準に…?」「金利をマイナスに…?」…
と、いきなり言われてもピンときませんよね。
安心してください! しっかり解説していきますよ!
よくわからない単語の意味や、そうする理由がわからないからであって、ひとつずつ理解していけば誰にでも理解できます。
疑問:「マイナス金利政策ってよくわからないけど、なんのためにしたの?」
まず、マイナス金利政策の目的は何なのかを理解しましょう。
マイナス金利政策の目的は
そのための方法がマイナス金利政策です。
具体的にどのようなことをしたのかというと、中央銀行の政策金利をマイナスにしました。
疑問:「中央銀行? 政策金利? なにそれ美味しいの?」
急に中央銀行とか政策金利とか言われても「は?」ってなりますよね、しっかり順番に説明します。
まず中央銀行というのは、簡単にいえば「お金やお金のシステムの管理を行なう特別な銀行」のことです。
日本の中央銀行は日本銀行ですね、略して日銀といいます。
そして、日本銀行は主に3つの役割を果たしています。
まず一つめは「銀行の銀行」
今回のマイナス金利政策ではこれが一番大事なので、覚えておきましょう!
普段私たちが一般の銀行にお金を預けるのと同じように、一般の銀行も日本銀行にお金を預けています。
これは、一般の銀行が潰れそうなときや経営が怪しいときに、
このお金を準備預金といいます。
そしてこの準備預金には、準備預金制度といって、一般の銀行は日本銀行に対して決まった額を預けることが義務づけられています。
残りの役割は「政府の銀行」と「発券銀行」といいます。
「政府の銀行」は、私たちから集めた税金を管理することで、「発券銀行」は名前そのままで、お札を唯一発行できる銀行ということです。
疑問:「じゃぁ政策金利ってなに?」
政策金利とは中央銀行が金融政策にもとづいて上げたり下げたりする金利のことを言います。
ちなみに金融政策とは経済を安定させるための政策のことです。
世の中のお金の流れが悪くなったとき、つまり不況時には以下の金融政策を行います。
- 世の中に流れるお金の量を増やす
- 金利を下げて家庭や企業がお金を借りやすくして消費や投資を促す
金利を下げるとお金が借りやすくなって、企業などがお金を借りてさまざまな事業に投資がしやすくなるのです。
金利がマイナスになっても私たちのお金は減らない
疑問:「金利をマイナスにするってどういうこと?」
マイナス金利政策では、金利をマイナスにしました。
ですが、金利がマイナスになるとはどういうことか、少しイメージしづらいですね。
簡単にいうと、銀行に100万円を預けたら1年後には100万円以下になっているということです。
利息としてこちらがお金を払わなければならないからです。
マイナス金利とは
金利がプラスの場合は、お金を借りると利息を支払い、お金を預けると利息がもらえます。これが、金利がマイナスの世界では逆になります。つまり、お金を借りると利息がもらえ、お金を預けると利息を支払うことになります。
ここで
「銀行に預けているだけでお金が減っていっちゃうの?!
大変だ!早くお金をおろしてこないと!」
と、勘違いしてしまう人が多いので要注意です!
安心してください! 減りませんよ!
私たちが普段お金を預けている一般の銀行には関係ないので、私たちのお金が減ることはありません。
なぜなら、今回の場合は「超過準備預金」の金利が対象なので、私たちにはあまり関係ありません。
疑問:「超過準備預金ってなに?」
さきほど説明した準備預金の決められた額を上回る預金を超過準備預金といいます。
超過準備
準備預金制度の対象となる金融機関が、法定準備預金額を超えて日本銀行に預けている当座預金または準備預り金を、「超過準備」といいます。
この超過準備預金の金利をマイナスにしたのが、今回のマイナス金利政策です。
疑問:「超過準備預金の金利がマイナスになったらどうなるの?」
今までは決められた額以上の準備預金、つまり超過準備預金には0.1%の利子がついていました。
一般の銀行は下手に貸し出しをして損をするのは避けたいので、預けているだけで利子が貰える日本銀行にお金を預けっぱなしにしていました。
こんな状況が続いていては、市場にお金が回らず景気が悪くなってしまいます。
そこで、超過準備預金にマイナス0.1%の金利を適用することによって、一般の銀行は日本銀行に預けているだけで利子の支払いをしなければいけなくなります。
預けているだけでお金がとられるなんてのは、一般の銀行からしてみればとんでもない話です。
経済を活性化させるためには市場にお金をたくさん供給して、消費や投資にお金を回してもらうことが大切です。
だから一般の銀行にお金を貸し出させるために、日本銀行は一般の銀行に利子の支払いを求めたのです。
利子の支払いを避けたい一般の銀行は、お金を日本銀行に預けているわけにはいかなくなり超過準備預金だったお金を家庭や企業に貸し出すようになるかもしれません。
これこそがマイナス金利政策の狙いです。
マイナス金利政策によって、一般の銀行が積極的にお金を貸し出すように促しているのです。
金融機関が日銀に預けている当座預金のうち、預け入れが義務づけられている額を上回る「超過準備預金」が対象。同預金には08年11月から年0.1%の利子が支払われていた。今回の決定では一定の残高を超えた超過準備にマイナス0.1%の金利を適用し、利子の支払いを求める。
これまでは日銀に預けるだけで0.1%のもうけがあるため、金融機関がそれ以下の金利でお金を市場で運用する必要はなく、付利は銀行などの貸出金利の事実上の下限になっていた。マイナス金利によって、利子の徴収を避けるために銀行は余ったお金を貸し出しなどに回し、消費や投資を押し上げる効果が期待される。一般の預金者の銀行口座には、直接影響しない。